たくみのブログ

いろんなものの備忘録

ワサビ栽培発祥の地、有東木へ

ことの始まりは某早押しクイズのゲームから。

「島根の匹見、静岡の有東木、長野の安曇野が有名で「山葵」と漢字で書く作物はなんでしょう」

答えはワサビなのだが、悲しいことに答えは分からなかったし、静岡の地名に関しては読めすらしない。

 

そもそも、ワサビってどんなところで栽培されてるのかもよく分からない。というか、ワサビって栽培されるものなのかすら知らなかった。せっかく同じ静岡県なんだから一回は行ってみたいと思ったところから今回の話に繋がる。

 

有東木(ゆとうぎ)は静岡市を流れる安倍川を約30kmほど上がったところから沢を登っていったところにある集落だ。山を越えれば山梨県へ行ける、そんな場所である。浜松からは片道110km、往復にすると220km。一日使えば行けるギリギリの位置。

 

有東木には農産物加工販売所である「うつろぎ」というお店があり、地元のワサビを使った料理を食べることが出来る。

 

そこでお昼ご飯を食べるのを目標にして浜松からいつものように自転車で向かう。約80km漕いで静岡市へ。静岡駅に行く時には渡ってしまう安倍川を遡上していく。市街地から10kmも走るとこんな感じの風景に。

f:id:taku1041:20200411230737j:image

 

この道は静岡市街から梅ヶ島温泉までを結び、梅ヶ島街道と呼ばれている。トレーニングにする人も多いのか沢山のロードバイクとすれ違う。車線拡張工事も行われているが、ところどころこんな感じの1.5車線道路だったりする。あんまり気にならないくらいだが全体的に登り基調。

f:id:taku1041:20200411231210j:image

 

そして、分岐点、うつろぎの看板が目印。本線と比較して序盤からまぁまぁ厳しい斜度の坂が出迎える。ここが有東木に行く唯一の道である。そう考えてみれば、この集落の人達にとってもワサビを欲する人達にとってもこの道は生命線。どことなく道幅は広いし舗装は綺麗に感じる。

f:id:taku1041:20200411231530j:image

 

この有東木、実はワサビ栽培の発祥の地で、その歴史は江戸時代からと結構長い。有東木からまた高いところで自生しているワサビを持ってきて栽培したことが始まりだとか。現在でも静岡県はワサビ栽培の全国トップレベルの生産量で、この地域は県内にいくつかある産地の一角らしい。

 

少し登っていくとワサビ沢が見える。手前に生い茂っている植物がワサビ。棚田みたいに段構造になっている。ワサビだけではなく茶畑もあった。

f:id:taku1041:20200412065543j:image

 

平均斜度10%の坂を登っていくといきなり視界が開けて、上の方に建物が見えてくる。こんなところに集落があって人が住んでいることに驚くレベルの秘境感。途中、つづら折りがいくつかあるが下から見るといくつあるか分からないくらいあるから割と心が折れそうになる。江戸時代にここから徒歩でワサビを街まで運んでいたとすると昔の人は本当に凄いなと感じる。自分だったらワサビを諦めそう。

f:id:taku1041:20200412070441j:image

 

そして、今回の目的地「うつろぎ」に到着。ちゃんとサイクルラックも置いてあるし割とチャリで来る人も多いのだろう。ここの標高は522m、そこらの適当な山の山頂よりは高い場所にあるせいかちょっと寒い。110kmも漕いで来たので営業中の横にある「遠くから来てくれてありがとう」の看板が染みる。

f:id:taku1041:20200412071354j:image

 

中ではワサビ本体やそれを加工した食品がお土産用に売っている。もちろん、料理もある。せっかくここまで来たので一番高い「うつろぎ定食」(1400円)を頼んだ。蕎麦やご飯をおろしワサビと合わせて食べられる。いつもは脇役のワサビが主役になっているので、心なしかワサビが美味しく感じる。蕎麦は手打ちっぽかった。

f:id:taku1041:20200412071940j:image

 

天ぷらはワサビの葉やピーマン、椎茸、かき揚げなどがあった。ワサビの天ぷらは初体験だが臭みもなく美味しかった。

f:id:taku1041:20200412072219j:image

 

ワサビグルメを堪能したあともうちょっと登ると「山葵栽培発祥の地」の記念碑がある。この道を登ると葵高原という標高900mくらいのところに辿りつくがキリがないので今日はここまでで折り返し。こんな感じでワサビが栽培されてることが知れて良かった。

f:id:taku1041:20200412073002j:image

 

 

 

〜おまけ〜

道中、真っすぐ有東木まで行くのも退屈だったので寄り道をした。

 

①宇津谷峠

国道1号線で藤枝ー静岡間を隔てる峠。現在は2車線のトンネルが2本、上下線用として使用されている。しかしトンネルは他にもあって、大正に作られた「大正トンネル」、明治に作られた「明治トンネル」はもっと山の上にある。

 

大正トンネルは県道に格下げされて今も使用されている。高さ制限があるので大型トラックは通れないが、片側1車線ある立派なトンネルだ。高さ制限のバーはぶつかった跡が残ってる。

f:id:taku1041:20200412074304j:image

 

大正トンネルからさらに高いところにあるのが明治トンネル。こっちのトンネルは公園になっていて、歩行者と自転車しか通ることができない。重厚なレンガ作りでツタが味を出している。

f:id:taku1041:20200412074504j:image

 

そのわりには路面も整備されているし電灯程よくついていて綺麗なトンネルである。今はひっそりとしているが、昔はここを東海道として多くの人が往来していたと思うとこのトンネルの凄みが増してくる気がした。

f:id:taku1041:20200412074720j:image

 

現在の1号線で使われているトンネルのうち上り線を「昭和トンネル」といい、下り線を「平成トンネル」というらしく明治から平成まで各時代でトンネルを掘っていることになる。「令和トンネル」も掘って欲しいところである。

 

 

②中平の吊り橋

安倍川沿いを走る梅ヶ島街道から中平地区方面への脇道に入っていったところにある吊り橋。入口には看板が立っている。看板によると1人しか渡れないとのこと。実際に渡ってみると柵は低いし、自分の体重で橋全体が大きく揺れるのでそこら辺のアトラクションより怖い。全長は137mらしいがそれ以上に反対側までが遠く感じる。

f:id:taku1041:20200412075911j:image